大田原市M様邸・家の中に外を感じる平屋~墨付け
いつもご覧いただきありがとうございます。地元の材料を使って快適で省エネな家を造っている那須塩原の工務店、斎藤建設の斎藤です。
大田原市内で家づくりが始まる、平屋ZEHのM様邸。
斎藤建設の工場では、大工さんによる「墨付け」が始まりました。
「墨付け」とは、家の構造材となる木材に、加工するための寸法や記号、印などを付けていく作業です。
そして、その墨付けによって付けられた印をもとに、木材を加工していく作業を「刻み」といいます。
墨付けをして、刻む。
昔から大工さんが行ってきた、とても大切な仕事です。
墨付けを簡単に説明すると、紙に描かれた平面的な図面を読み解いて、実際に建つ立体の家へ変えていくための作業と言えば分かりやすいでしょうか。
この柱には、どの梁が取り付くのか。どこに仕口や継手をつくるのか。どちらが上で、どちらを向いて取り付くのか。
図面を読みながら一本一本の木材に墨を付け、それをもとに加工していきます。
ですから、当然ですが墨付けを間違えてしまえば、その後の刻みも間違ってしまいます。そして、その間違いに気づかないまま建て方の日を迎えれば、
「木材が組めない……」なんてことにもなりかねません。
大工さんになるため親方に弟子入りし、修業を重ねて、初めて墨付けと刻みを任されたとき。
大工さんによると、建て方の前夜は、「ちゃんと組み上がるだろうか」と、眠れないくらい緊張するものなのだそうです。
それくらい責任のある仕事なんですね。
そんな墨付けと刻みですが、現在の木造住宅では「プレカット」が主流になっています。
プレカットとは、構造材の加工を工場で機械によって行う方法です。
コンピューターに入力された加工データをもとに機械で木材を加工するので、加工精度も高く、効率よく大量の構造材を加工することができます。
とても便利な技術です。
その一方で、住宅業界では墨付けや手刻みを経験したことのない大工さんも増えてきました。
僕は、ここを少し心配しています。墨付けや刻みは、単に木を切ったり削ったりする技術だけではありません。
「この木とこの木が、どう組み合わさって家を支えるのか」それを大工さん自身が考え、理解しながら加工していく仕事でもあります。
木造住宅の構造を理解することと、墨付けや刻みの技術は、とても深くつながっているんです。
だから斎藤建設では、今でも大工さんに墨付けをしてもらっています。
効率だけを考えれば、違う選択肢もあります。
それでも、先人から受け継いできた大工さんの知識や技術を、次の世代へつないでいくことも、工務店の大切な仕事の一つではないかと思っています。
ただ、だからといって、「昔ながらのやり方が一番いい」
という話でもありません。
ここ数年の夏の暑さを考えると、現場で働く職人さんたちの環境は本当に厳しくなっています。
特に建て方は屋外での作業です。まだ屋根も壁もない場所で、強い日差しを受けながら作業することになります。
そんな中、木造住宅業界では、現場での作業を減らす方法の一つとして「大型パネル」という新しい施工方法も出てきています。
工場であらかじめ壁や窓などを大きなパネルとして組み立て、現場へ運んで施工することで、現場での作業時間を大きく短縮することができます。
これから職人さんの人手不足が進んでいくことを考えても、こうした技術はとても大切になってくると思います。
何より、夏の酷暑の中で働く職人さんの負担を減らせるのであれば、それも考えていかなければなりません。
でも一方で、効率化が進むほど、大工さん自身が木造住宅の構造を考え、木を加工する機会は少なくなっていく。
ここが難しいところです。
新しい技術を取り入れて、職人さんの負担を減らすこと。人手が少なくても家をつくれるようにすること。
そして同時に、大工さんが木造住宅の構造を理解するための知識や、昔から受け継がれてきた技術を残していくこと。
どちらか一方ではなく、両方をどうやって残していくのか。
これからの木造住宅業界では、そんな模索が続いていくのではないかと思います。
僕の祖父も、父も大工でした。なので、工場の中で大工さんが木材を並べ、墨付けをして、刻んでいる姿は、僕にとって子どもの頃から見てきた風景でもあります。
当時は、それが特別なことだとは思っていませんでした。
大工さんが家をつくるのだから、木に墨を付けて、ノミや道具を使って加工する。
それが当たり前の風景でした。でも今では、その「当たり前」だった風景を見ることのできる工務店も、少なくなってきています。
新しい技術によって仕事が安全になったり、楽になったりすることは、とてもいいことです。
だから、昔のやり方をそのまま残せばいいとは思いません。
それでも、木を見て、図面を読み、考え、自分の手で家の骨組みをつくる。
そんな大工さんの知識と技術は、これからも残していきたい。
工場でM様邸の構造材に墨を付けている大工さんを見ながら、そんなことを考えていました。
僕が子どもの頃から見てきたこの風景が、形を変えながらでも、次の世代へ少しずつ受け継がれていってくれたらいいですね。
M様邸の構造材も、これから墨付け、刻みと進み、少しずつ家の形へと近づいていきます。
また、その様子もご紹介したいと思います。
このブログを書いた人
斎藤賢一
家族…………..妻、娘(小学生)、息子(小学生)、猫、金魚、サワガニ、熱帯魚、エビ
楽しいもの…キャンプ道具(ランタン、バーナー・ストーブ、クッカー、グリル)、キャンプ道具で調理すること
………………….自転車(クロスバイク)、子供とディズニーリゾートに行くこと、ヴァイオリン(一応演奏します)
特技……………初めて会った猫に「シャー」と言われない。お子さんと仲良くなれる。
仕事……………斎藤建設の社長・家づくり
資格……………環境省うちエコ診断士・暮らし省エネマイスター・エネルギーエージェント・気密測定技能士・木構造マイスター準1級・2級建築士・福祉住環境コーディネーター2級・第1種情報処理技術者
メディア…….NHKおはよう日本
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