気密性を高める意味は?
いつもご覧いただきありがとうございます。地元の材料を使って快適で省エネな家を造っている那須塩原の工務店、斎藤建設です。
家づくりの基礎知識を皆さんにお伝えする「家づくり教室」の4回目。今日のテーマは「気密性を高める意味は?」についてのお話をさせて頂きたいと思います。
断熱とセッ トで語られるのが「気密」です。気密というと何となく息苦しそうと思われる方も多くいらっしゃいます。実際、気密に関しては、いろいろな考え方があります。
住宅の温熱設計を学んだ人たちは、断熱とともに気密を徹底しなければならないと考える派が多く、その一方では、日本は温暖な国なのだから、そして湿度が高い国だから気密は高めない方が良い派、という様に結構意見が分かれています。
しかし、気密派と気密取らない派の対立は、あまり意味がないと思います。なぜなら気密は、断熱のために行う部分もあるのですが、それだけでなく、きちんとした換気を行うためにも重要だからです。
気密なのに換気?と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、実は、気密性が低いと室内の空気がきれいに入れ替わらないのです。
人はいつも呼吸してますし、家の中で料理をしたり、ご飯を炊いたり、湯も沸かしたりします。なので、家の中の汚れた空気や湿度をたくさん含んだ空気を外に出して、きれいなな空気を取り入れる換気が不可欠です。
ところが、家の中が隙間だらけだったら、いろいろなところから空気が勝手に出入りしてしまい、適切な換気が行えません。なので、きちんと換気するためにもある程度の気密性があることが大切なのです。
掃除機を想像してみてください。掃除機はホースの先端の穴から空気をごみと一緒に吸い込みます。もし、ホースの至る所に穴が開いていたら、あちこちから空気を吸い込んでしまうので、ホースの先端からしっかり吸い込むことが出来なくなってしまいます。そんなイメージです。
気密性をあらわす数値を「C値」と言います。C値は、 日本語でいうと相当膜間面積です。 相当隙間面積は、床面積1㎡当たりに隙間がどのぐらいあるかを、 「C㎡」で示すものです。 実際には、 窓や扉を全部閉めて室内の圧力を下げたとき、外からどのぐらい空気が流入するかを機械で測定して判定します。
Ua値やη値などは計算で求める事が出来ますが、C値は測定することで得られる唯一の物です。断熱や気密性の施工の精度を確認するためにも、省エネ住宅を目指すならC値の測定は是非行いたいものです。
C値は40坪(132㎡)の家では2.0C㎡/㎡の時、郵便はがき1.8枚分、それが0.5C㎡/㎡になるとハガキ0.45枚になります。
住宅の省エネルギ一基準では、 2009年の改正でC値の基準がなくなってしまいましたが、基準がなくなったから気密はどうでもよい、ということはありません。さっきの掃除機のホースの例でもそうですが、ホースの至る所に穴が開いていたら、あちこちから空気を吸い込んでしまうので、ホースの先端からしっかり吸い込むことが出来なくなってしまいます。しかし、気密が大切だからと言ってホースの先の穴を含めてすべての穴をふさいだら掃除機としての役目を果たしません。なので。気密性を確保し、 通すべきところに空気を通すことが大切なのです。
換気は風と温度差を利用
これまで、お話してきたように気密性を高めると、余計な隙間風を防ぎつつ空気の入れ替えがしやすくなるということです。余計な隙間風が無いので、意図したとおりに換気ができるという意味で計画換気と呼びます。
計画換気と言うと換気扇や換気設備などの機会に頼る事を想像する方もいらっしゃいますが、それだけとは限りません。 計画換気とは機械的に換気することだと思い込む人が多いですが、 風の通り道をうまくつくってあげて、 必要に応じて人の手で窓や建具を開け閉めすることも計画換気の一種です。
風通 しを考えるためには、その場所の気象条件も知つておかなければなりません。そこで、覚えておきたい言葉として「卓越風」があります。これは、その地域で月ごと、または季節ごとに一番吹きやすい風向きを指します。 気象庁のホームページでも大まかな傾向をっかむこと はできます。
しかし、その地域の風の概況を知ることに加えて、その敷地の周囲で風がどう吹いているかを知ることが重要です。たとえ卓越風が吹いていても、周りの建物などとの影響で、敷地には届かないこともあるのです。それを知るにはしっかりとした現地調査が大切になります。
もっとも、自然の風はいつも吹いているとは限りません。風がなくても、温度差があれば換気はできます。温められた空気は上昇するので、この温度差を利用して行う換気が温度差換気です。煙突効果と呼ぶこともあります。高いところに排気口を設ければ、室内に籠った熱が抜けていきます。低い位置に給気口を開けておけば、 そこから新しい空気が入つてくるわけです。
窓の配置を考えるときには、扉や窓の開け方を考えに入れて風の流線を検討することもとても大切です。小さな住宅でも、開口部は意外とたくさんあるものです。窓のどれをどのように開けてどれを閉めるかで空気の流れは違ってきます。風の流れをうまく作り出すと同時に、住まい手の方が、窓の開閉をしやすく設計するのもとても大切な事です。
自然の風を捕まえる事は自然の力を最大限に活用するパッシブデザインの1つの手法です。
気密というイメージからは、自然を拒絶し機械に頼るというイメージが先行しがちですが、自然の力を借りるためにも気密がとても大切だという事を、是非覚えて頂ければと思います。
今日のまとめ
気密性は、断熱のためだけでなく、適切な換気のためにも必要
自然の風の力を借りるときにも気密は大切
自然の風による風力換気や温度差換気を行うなら、住まい手が窓の開け閉めをしやすい、デザインが大切
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